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IMAへのメール


 
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●はじめに…
  『勝利の記録』とは違って、当事者から見たら、こんな不名誉な『見本』は無い…でしょうから、人物が特定できるような記述は、極力避けて書きます。でもボクも人間ですから、『間違い』が生じる場合もあります。そういう場合、ここの文章を読んで、気になることが、もし生じましたら恐れ入りますが当方へメールをください。善処させていただきます。とにかく、そういうことで、ココでは仮名は勿論のこと、日時、場所についても出来る限り特定出来ないように配慮はいたします。ただ、記述内容そのものは、すべて真実です。

●「豪邸の知人」に呼ばれる…
  いよいよ、来年夏には参議院選挙が実施される…という時の、ある日のこと、旧知の政界関係者から、突然の電話が入りました。
  『オウッ!ヤマちゃん!元気かー!!ちょっと顔貸してくれんかー!相談があるんじゃー!!今日でも夕方にウチへ来れるかー!!??』断れる相手では無いので(苦笑)『大丈夫ですよー!夕方5時頃伺います!それでいいですか?』
  『ああ!勿論エエとも!ほな頼むでー!!』
  5時きっかりにその方の「大豪邸」に到着し、広い広い応接間で待たされました。壁には、「文化財級」の絵とかが飾られています。ボクには、なんの興味も無いような絵ですが(苦笑)。別室で、その方の大きな声での電話の話声が聞こえてきます。大きな家なのにです(笑)それほど大きな声です。しばらくして、電話の声が聞こえなくなると、その家の主が応接間に入って来ました。『オウッ!ヤマちゃん!久しぶり!元気か!?すまんな!』といつもの愛想です(苦笑)』ソファーに座るなり、彼は、いつもの選挙の話をするときの『厳しい怖い顔』になり…低い声で語り始めました。
  『いま、来年の参院選で誰か候補者と、もう契約してるか?まだか?』とボクにその顔で尋ねました。誰ともまだ未契約だったので、『いえ!まだ、どなたとも!』と返事しました。
  彼はボクその返事を聞いて…彼なりのマシンガントークで語り始めました。
  要は、一年後の夏の参院選に、長年の付き合いの県会議員が出馬を決意している。彼としては総力を挙げて、そいつを当選させたい。資金も用意出来ている。あと、一時間ほどしたら、その男がココへ来るので、会ってほしい。そしてコンサルを引き受けて欲しい…というものでした。
  勿論、その県議は、ボクもよく知ってる人でした。まあ、県議としては「将来は間違いなく国政へ!」と誰もが思ってた人でした。ただ、悲しいかな…ボクはあまり好きなタイプの政治家ではありませんでした(苦笑)。
  ほどなくして、その県会議員がやって来ました。応接間に入るなり、彼はボクを見つけて『ああ!ヤマグチ君!久しぶりやな!』と、上から目線で挨拶しました(苦笑)。なんせ、全国県議会議長までも務めた、まあ大物県議ですから当然と言えば当然です(笑)。
  結局、その県議は、その「大豪邸の知人」に趣旨を聞かされ、呼ばれ…「まあ…話は聞いておくかー!」程度だったかもしれません。「なんで、こんな若造に俺が世話にならなあかんねん!この世界では、俺のほうが大先輩じゃ!」という態度がアリアリでした。しかしまあ…そこは、またその世界では、「豪邸の知人」のほうが、この県議より大先輩。結論は、『じゃ、どのくらい費用がかかるのか…見積もりを下さい!』で…・・この場は終わりました。

●なんで嫁はんが…シャシャリでる!?…
  それなりの「見積もり企画書」を急遽作成し、数日後、その県会議員の、これまた「豪邸」に赴きました。しかし…なぜか「対応」されたのは、その県議の奥様でした。ボクは???でした。まあ…しかしこの奥様の「評判」もちまたで聞いていましたし、「さもありなんか…」と納得しましたが。
  奥様が、その見積書を見ながら…・次つぎと質問をしてきました。それもどちらかと言えば「ピンボケ」な質問ですが(苦笑)『コレはなんでこんなに高いの???』がベースの質問です。まあ…たとえば、今なら、候補者のホームページを作るのに、10万円でも作れるし、100万円かけても作れるし…の意味の無い「愚問」です。だんだんと、ボクは腹が立ってきました(苦笑)こう見えて、ボクは「瞬間湯沸かし器」です。知る人ぞ知る(苦笑)適当に切り上げて…『失礼します!!』と言って豪邸を後にし…・・怒りのこみ上げるままに、すぐに、紹介者の「大豪邸の知人」に電話をしました。
  『スミマセン!今日…・・そういう事態で、もう、ボクとしては、こういう方はお断りしたいのです。本人が出ずに、嫁さんにやらすなんて、お話になりませんわ!』「大豪邸の知人」は慌てました。『ヤマちゃん!ちょっと待ってくれ!そう結論を急がんでくれ!ちょっと、話を聞いてみるし、ちょっと待ってくれ!なっ!なっ!』数日して、「大豪邸」に呼ばれました。彼は、こう言いました。『あのな、結局な、候補者はな、やはり君のコンサルやら、デザインは要らんちゅうねん。そやけどな、オレを含めて、彼の側近中の側近の4人はな、君にいて欲しいねん!ちょっとわかりにくいやろけど、とにかく、彼がヤマちゃんと契約はせんでも、ワシ等は、あんたとコンサル契約したいんじゃ!ということで、彼抜きで、ワシ等側近衆とのコンサル契約をしてくれんか!?今回の参議院選挙は、定数3名で5人から6人は立候補しそうやし…ウチ等が君を手放して、他の候補者が、君と契約する…ちゅうのはどうしても避けなあかんと思ってんねん!
  どやろ?俺の頼みやから聞けるわな!!??』ボクとしては、そこまで言われて断る訳にはいきません。『わかりました!そういう契約なら、承伏できます!』それから数日後、その4人の「大物ばかりの側近衆」の「秘密の選対会議」に呼ばれました。そこで、そういう「趣旨」の契約をし、この候補者の運動を「客観的」に常にチエックし、月に一度、この4人のウチの一人の最高幹部と出会う。そして、その都度「意見具申」をする…という、まあボクの仕事では「最高条件」とも言える「お気軽な契約」でした。しかし、彼等は、ボクが「他の候補者陣営とは契約しない」という「保証」を得てた…がヒトツの安心だったということでした。コレは「プロ冥利」に尽きる話です(苦笑)。
  それからは、毎月月末近くに、その参謀さんと、夜の飲み屋街で会いました。酒を飲み交わしながらのコンサルでした(苦笑)。

●有権者動向調査をしましょう!!
  そんなこんなで、半年が経過しました。夏の参院選まで残り半年です。ボクは「有権者動向調査の実施」を参謀に提案しました。『候補者が、なんと言おうと、客観情勢の調査を、残り半年あるときにこそすべきです!たぶん、あの候補者ですから、自分は勝ってる!と思ってる筈です。それは命取りになります!本当のところの情勢を参謀さんや、側近の4人は知っておかなあきません!!皆さんで、相談ください!実施の方向で!』と…ボクは「ココが一番!」という「力説」をし、その「月末定例会」は終わりました。数日後、参謀から『その調査お願いします!皆、賛成でした!あなたの言うとおり、候補者は「勝ってる!勝ってる!」と言ってます(苦笑)是非、調査お願いします!!』
  まもなく、県下を衆議院選挙区に分けての、かなりの大規模な調査を開始しました。全県トータルの有効回答数が約3000という大きな数字です(集計しんどかったなあ…)。
  そして、その結果をまとめあげ…また、「秘密の選対会議」を招集していただき、側近4人衆に集まってもらいました。
  その有権者動向調査では、定数3名当選の選挙ですから、支持率が「三位以内」に入ってないと駄目です。この選挙半年前の時点で、立候補予定者は、彼も含めて7名になっていました。しかし、まだ半年の事前運動期間がありますから「運動修正」は可能です。
  結論から言うと…「第四位」の支持率でした。アキマヘン。それだけでなく、「ボクが直接企画していない運動」を勝手にやってる「事前運動」ですから、知名度も、僅か27.4%しかなく、お話になりません。知名度も「第五位」の体たらくでした。最も大事な「支持率」の詳細ですが、まあ…はっきり言って、どの陣営も相当レベルの低い「運動」なのか…すべての候補者が低いのですが…先ず、支持率第一位が、自民党候補が4.5%、
  二位が、公明党候補で2.3%、三位が社会党候補で1.7%。そして、4位が1.6%で、この陣営候補でした。ちなみに、この半年前で、所謂「まだ決めていない」という人たちは90%以上いたのですが…ボクのこれまでの経験で言うと、その人たちは、この調査時のような比率で、それぞれの候補者に上積されていくのです。よほどの「運動転換」がそれぞれの陣営でない限りです。つまり、それぞれが、今のままの「運動継続」なら、半年後の「選挙結果」も、ほぼ同じになる…というのがボクの「持論」です。
  とにかく、「三位社会党候補」と「四位の、この陣営」の差は、微差に見えますが…全県対象の参議院選挙ですから、たとえば有権者数が約500万人の県なら、0.1%の支持率があれば、票数にして約5000票は差がつきます。
  その集計結果を見て、側近衆の一人の第一声は、こうでした。『こんなもんやろ!ワシの思ってた通りや!アイツは勝ってる勝ってる!言うとるけど…この調査通りのもんやと思うわ!ワシは!』ほぼ、四人全員、真摯にこの「結果」を受け止めました。そして、別の一人がこう言いました。『しかし…この結果は、アイツに伝えなあかんなあー!こんな当落ボーダーラインやいうことを知らせとかなアカンやろ!なあ!?』皆、同意見で納得でした。毎月末にボクが会ってる「参謀」がその役目をすることになりました。そして、ひととおりの側近衆の「感想」と「ため息」を聞き尽くした後…ボクは、皆さんに話しました。『候補者には、こう伝えてください!縁あって、側近衆とだけの契約で、ここまで来ましたが、残りの半年間、今からボクに「戦略を組んでくれ!勝たせてくれ!」と言われるなら…まだ、半年あるので、なんとかなるかもしれません。勝つ保証はできませんが…今よりは絶対にマシにはする自信はあります!』 
  参謀は『わかりました!有難うございます!極力その方向で話してみます!』
  と…言うことで…皆別れました。この参謀さんは、やはり同じ県議会の議員さんで、候補者とは「刎頸の友」。彼しかこの役はいませんでした。

●「調査結果」を放り投げる!!
  その後、まもなく、その参謀さんから連絡がはいりました。再び、「秘密の選対会議」の緊急招集です。そこであった衝撃の話はこうでした。『候補者に、この調査結果を見せました!彼は、チャラチャラと見て、激怒!「こんなバカなことあるかい!俺は勝っとるわい!こんなエエ加減な調査なんか信用できるかい!!!」と口角泡飛ばして、この調査結果を放り投げましたわ!』その話を聞いて…皆、愕然!一人は『もうアカンな!こいつ!』彼も含めて、この側近衆は、この候補者の選挙運動資金の大半を拠出してる人たちなんです。皆、呆れました。その候補者の「贈冗漫」ぶりにです。
  そして、参謀はこうも言いました。『ヤマグチさんのコンサルは要らんそうです!』この日を境に、この参謀さんとの月末の顔会わせは、「ただの飲み会」となりました。カラオケもしました(苦笑)もう、選挙の話はしなくなりました。コンサル料(いや、足止め料か…苦笑)をいただくだけで、何もしなくてイイという「最高に素敵な契約」となりました(苦笑)

●「選挙結果」
  選挙の結末はこうでした。
  一位当選、半年前の調査通り、自民党候補437、185票
  二位当選、調査では三位だった社会党候補436、639票
  三位当選、調査では二位だった公明党候補433、236票
  「この候補」は調査結果通りの「第四位」で20万票程度でした。
  惨敗です。

●「教訓」
・自分を過信し過ぎるな!
・人の意見によく耳を傾けろ!
・「男の大事な仕事」を嫁さんに頼むな!又は、「口を出させるな!」
・ 増上漫 になるな!
・本当に心配してくれてる人たちを見失うな!大事にしろ!
ほかに、感じるところあれば…今後の戒めとして…この話を記憶にとどめてください。



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